
春の訪れを感じる三月下旬。
暖かくなると変態が活気づくということで、私は東京旅行に出かけました。

東京の玄関口、上野駅に降り立ちます。
この日は休日で上野恩賜公園はカップルや家族連れで賑わっていました。

とてもいいお天気で歩いていると軽く汗ばむくらいの陽気です。
さて、今回の旅の目的の一つは「上野オークラシアター」です。
日本一のピンク映画館と呼ばる成人映画専門の劇場です。

「うわぁ、マジか……」
こんな人通りが多いところにあるのかと少々面食らいました。外国人観光客やら小さい子どもを連れた若いお母さんやら、とにかく色々な人が建物の前を行き交ってます。
入るかどうか迷っていたら、女装子さんがハイヒールをカツカツと鳴らしながら颯爽と入館していきました。
とりあえずその場から離れようとしたら、今度はミニスカの女装さんとすれ違います。こんな短時間で2回も女装にエンカウントするなんてさすがTOKYOです。
落ち着くために近くにあるルノワールに逃げ込みました。

ちなみに今回は中で遊ぶつもりはなかったので女装はしていません。
どうでもいいですがルノワールは最後に温かいお茶を出してくれるんですね。初めて知りました。
せっかくここまで来たのだからと気を取り直します。
まずは一階へ。券売機でチケットを買って、受付の方に渡します。
劇場に入ると、まだ序盤だったので濡場シーンではありませんでした。AVは数え切れないほど観ていますが、ピンク映画は初めてです。
鑑賞もそこそこに出たところで、ロビーでは中年の男性の方々が和やかに談笑しておられました。館内のテレビでは春の選抜高校野球大会をやっており、午後のまったりとした時間が流れています。
奥の階段を上がると、チラホラと女装子を見かけます。スラリとしたキレイな女装子さんと老紳士がベンチでお話されていました。
割合でいうと殿方8:女装2といった感じでしょうか。時間帯のせいかスケベが起こりそうな雰囲気はあまり感じませんでした。
次に2階にある特選劇場に入りました。なんと500円で入場できるのです。物価高の昨今では考えられない料金設定!
こちらは下の階よりも人口密集率が高いです。劇場内は映画が上映されてないのに、なぜか満員状態になっており、立ち見客がズラリと並んでいます。ぱっと見、年齢層は高めです。
さすがにこれは中に入れないなと立ち尽くしていると、色々な方向からの視線を感じます。
この日はB面でノーメイク、ノーウィッグで帽子を被りマスクをしているのですがオーバーサイズのパーカーにダボダボのジーンズ(両方ともレディース)というなんとも格好でした。おまけに私は背が低いので周りのオジサマ方からは「あれ、こいつ女装なのか?何なんだ?」と思われたかも。
殿方のじっくりと舐め回すような目線は嫌いではないのですが、ちょっと怖くなったので外に出ました。
すごい世界を垣間見たなと余韻に浸りながら、春の行楽を楽しむ一般人の群れに紛れ込みます。上野公園へ入っていく道には桜の木々が手招きするように続いていました。
夜は昼の格好にウィッグとメイクをして、新宿二丁目へ。



人生初めての二丁目。楽しい夜になりました。